石坂浩二の水戸黄門はなぜ2部で降板したのか?髭なしの賛否と闘病の真相
石坂浩二の病気療養に伴い、第31部から白羽の矢が立ったのが里見浩太朗でした。かつて初代・助さんとして16年間にわたり東野英治郎を支えた大スターの就任は、制作陣にとって「最大の原点回帰」を意味していました。
石坂浩二 里見浩太朗 水戸黄門の交代劇において、制作陣は石坂時代に試みた実験的要素の多くをリセットしました。光圀のトレードマークである白い顎髭が即座に復活し、8時45分頃に格さんが印籠を掲げる「定番のフォーマット」が再び徹底されることとなります。里見黄門の持つ圧倒的な華と時代劇の基本を押さえた身のこなしは、混乱していたオールドファンに大きな安心感を与え、番組は再び安定期に入りました。
しかし、だからといって石坂浩二の残した足跡が無駄だったわけではありません。石坂版が提示した「勧善懲悪の奥にある人間の業(ごう)や葛藤を描く」というドラマツルギーは、その後のエピソードの脚本クオリティを格段に底上げしました。光圀が単なるスーパーマンではなく、一人の人間として苦悩しながら旅をする描写は、現代の時代劇ファンから「早すぎた名作」「大人向けの上質な歴史エンターテインメント」として高く評価されています。