アクロスザユニバース歌詞の謎|ジョン・レノンが込めた真言の響き
サビで繰り返される「Jai Guru Deva Om(ジャイ・グル・デーヴァ・オーム)」という呪言のようなフレーズ。この印象的な言葉こそが、本楽曲の精神的核をなしている。当時、ビートルズのメンバーはマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが提唱する超越瞑想の教えに深く感化されていた。サンスクリット語であるこのフレーズを直訳すれば、「神なる師に感謝を」あるいは「聖なる導き手に栄光あれ」といった祝福の意味を持つ。
「Deva」とはマハリシの師であるスワミ・ブラフマナンダ・サラシュワティを指し、「Om」は宇宙の根本的な振動を表す聖音とされる。しかし、ジョン・レノンがこの真言を詩に組み込んだ動機は、単なる宗教的傾倒にとどまらない。当時の彼は妻シンシアとの関係悪化やバンド内の緊張、自身の内面にある葛藤に苛まれていた。苛立ちと孤独が渦巻く夜、意識の奥底から湧き上がってきた言葉を鎮静剤として機能させたのだ。
外部の雑音や精神的混乱から自身を切り離し、揺るぎない平穏へと逃避するための「心の盾」。真言を唱えることで彼は、崩壊しかけていた自己の均衡を保とうとしていた。このサンスクリット語の響きには、救いを求める天才の生々しい深層心理が刻まれている。