息はあるのに心停止?死戦期呼吸の見分け方と命を救うAedの真実
心臓が止まっているにもかかわらず、なぜこのような呼吸動作が起きるのでしょうか。その原因とメカニズムは、生命維持を司る「脳幹」の反射運動にあります。
心室細動(心臓が痙攣して血液を送り出せない状態)などによって心停止が起きると、脳への血流が瞬時に途絶えます。大脳皮質などの高次機能は数秒で停止し、意識を失いますが、生命の中枢である延髄の呼吸中枢だけは、極度の虚血(酸素不足)状態の中で最後の刺激に反応し、反射的に呼吸筋へ痙攣的な指令を送り続けます。これが死戦期呼吸が発生する医学的な理由です。
つまり、死戦期呼吸は「回復の兆候」ではなく、「脳への酸素供給が完全に絶たれ、生命が尽きかけている断末魔のサイン」にほかなりません。この痙攣的な反射運動も、心停止からわずか数分(およそ3〜5分程度)で消失し、完全な呼吸停止へと移行します。この間に何もしなければ、脳細胞の不可逆的な壊死が進み、取り返しのつかない事態に陥ります。