「同じ病気」の誤解を解く!認知症とアルツハイマーの違いと最新治療
2026年末に日本で保険適用された「レカネマブ(商品名:レケンビ)」、およびそれに続く「ドナネマブ」の登場により、2026年現在の医療現場は劇的な転換期を迎えています。従来のドネペジルなどの対症療法薬が「神経伝達物質を一時的に増やして症状を一時的にごまかす」ものだったのに対し、抗アミロイドβ抗体薬は「病気の根本原因である蓄積たんぱく質を除去し、進行そのものを遅らせる」世界初の疾患修飾薬です。
国際共同第Ⅲ相臨床試験(Clarity AD)のデータでは、レカネマブ投与群において臨床症状の悪化が18カ月間で27%抑制される結果が示されました。これは進行を約7カ月半遅らせる計算になります。
しかし、2026年現在の臨床現場で見えてきた課題と厳格な適応条件には冷静な目を向ける必要があります。
- 適応対象は「MCI」および「軽度認知症」のみ:中等度以上に進行して既に死滅してしまった脳神経細胞を再生させる効果はありません。失われた記憶を取り戻す薬ではないのです。
- 厳格な診断プロトコル:問診や認知機能テストに加え、アミロイドPET検査、あるいは脳脊髄液(CSF)検査でアミロイドβの蓄積が確定診断される必要があります。
- ARIA(アミロイド関連画像異常)のリスク管理:投与に伴い、脳浮腫(ARIA-E)や微小脳出血(ARIA-H)が生じるリスクがあるため、定期的なMRI検査モニタリングが義務付けられています。
こうした早期診断の現場で長年用いられているのが長谷川式認知症スケール 診断基準(改訂長谷川式簡易知能評価スケール:HDS-R)です。30点満点中20点以下で認知症の疑いが高いと判定されます。近年ではこれにMMSE(ミニメンタルステート検査)や、2026〜2026年にかけて保険適用の裾野が広がった「血液バイオマーカー検査(採血だけでアミロイドβの蓄積リスクを測る技術)」が組み合わされ、侵襲性の低い早期スクリーニング体制が確立されつつあります。