毎晩夢を見るのはなぜ?睡眠の質と脳疲労が警告する心身のサイン
「毎日のように夢を見るのは一体なぜなのか?」という疑問に対する神経生理学の回答は極めて明快です。それは、夢を見る回数が多いのではなく、「夢を見ている最中に脳が中途覚醒し、記憶の引き出しに焼き付けられている」という事実です。
私たちの夜間の眠りは、脳を休めるノンレム睡眠と中途覚醒を防ぐ深い眠り、そして活発に脳が記憶の整理を行う浅い眠りとレム睡眠が約90分から120分の周期で交互に繰り返されています。健常な成人の場合、全睡眠時間のうちレム睡眠が占める割合はおよそ20〜25%です。このレム睡眠中に大脳皮質が活動し、断片的な記憶や感情を統合するプロセスが「夢」として知覚されます。
深い眠り(ノンレム睡眠のステージ3)から滑らかに目覚めた場合、夢の記憶はほとんど意識に残りません。しかし、レム睡眠の最中やその直後に物音、呼吸の乱れ、あるいはストレスによる交感神経の緊張で目が覚めると、短期記憶を司る海馬が活性化し、見ていた夢が鮮明に意識へ残ります。つまり、夢をよく見る理由の根幹には、眠りのリズムが分断され、眠りが浅くなっているという生理的現象が存在しているのです。