木山裕策の病気とは?甲状腺がんから名曲Home誕生と現在の姿まで
甲状腺がんの治療において、木山さんにとって最も過酷だったのが手術に伴う声帯損傷のリスクでした。甲状腺のすぐ裏側には、声帯を動かすための重要な神経である「反回神経(はんかいしんけい)」が通っています。腫瘍の発生場所や癒着の度合いによっては、この神経を傷つけたり切除したりせざるを得ません。
担当医からは、手術によって命が助かったとしても「声がかすれて出なくなる」「ガラガラ声になって二度と以前のような歌声は出せなくなる可能性がある」という重い説明を受けました。学生時代から歌を愛し、歌うことを人生の大きな喜びとしていた木山さんにとって、声を失う恐怖は死の恐怖と同じほど重くのしかかりました。
しかし、手術は名医の手によって無事に成功を収めます。左側の甲状腺と転移の疑いがあったリンパ節を切除したものの、奇跡的に反回神経は傷つけずに温存されました。術後は首の腫れや喉の違和感に苦しみ、思うように声が出ないリハビリ期間が続きましたが、地道な発声練習を重ねた結果、かつて以上の温もりと深みを帯びたあの唯一無二の歌声を取り戻したのです。