鈴虫の鳴き声の秘密を徹底解剖!聞こえない理由や飼育のコツまで全解説
鈴虫の鳴き声は、口や喉から出ているわけではありません。彼らは体の一部を楽器のように使いこなす生粋の演奏家です。発声の主体となるのは成熟したオスの前羽(翅)。羽の裏側にある「ヤスリ状の翅脈」と、もう一方の羽にある「摩擦片」を高速で擦り合わせることで振動を発生させ、羽全体をアンプ(音響板)として共鳴させています。
羽を立てて擦り合わせる角度は約80度から90度。立ち上がった2枚の羽が絶妙な空洞を作り出し、あの澄み切った反響音を周囲に響かせます。一方で、メスには発音器官が存在せず、一生鳴くことはありません。メスの羽はオスに比べて細く平らで、産卵管を備えている点が外見上の大きな違いです。
野外で鈴虫の鳴き声が響き渡る時期は、一般的に8月下旬から10月下旬にかけて。夏の終わりから初秋の涼風が吹き始める頃に成虫となり、繁殖活動のピークを迎えます。オスの鳴き声には主に3つのバリエーションが存在し、状況に応じて巧みに使い分けられています。
1つ目は遠くのメスを呼ぶ「ひとり鳴き(誘引鳴き)」、2つ目は近づいたメスに求愛する静かで甘い「口説き鳴き(求愛鳴き)」、そして3つ目は他のオスと鉢合わせた際に激しく威嚇する「争い鳴き(威嚇鳴き)」です。一見同じように聞こえる音色の中に、彼らの情熱的な意思表示が込められています。