養殖と栽培漁業の違いとは?稚魚放流の仕組みと対象魚種を徹底解説
近年、従来の養殖漁業が抱えていた大きな弱点を克服する技術として「完全養殖」が実用化されています。
従来の養殖の多くは、海で捕獲した天然の稚魚(ウナギのシラスウナギやブリのモジャコ)を生け簀に入れて太らせる手法に依存していました。これでは天然資源の乱獲につながり、稚魚の不漁が生死に直結します。そこで開発されたのが、「人工孵化させた親魚から卵を採り、再び人工孵化させて次の世代を育てる」というサイクルを人間の管理下だけで完結させる完全養殖です。近畿大学が成功させた「近大マグロ」はその象徴例であり、現在ではマダイ、トラフグ、サーモンなどでも定着しています。
一方の栽培漁業でも、放流した稚魚が自然界で生き残る確率(生残率)を高めるため、海に放す前に波や潮の流れに慣れさせる「中間育成」の技術や、放流場所の選定にAI・海洋データ解析を用いる取り組みが標準化しつつあります。