予約3年待ちの衝撃。職人が紀州備長炭と挑む「ひとくしの革新」が、なぜ今世界中の美食家を狂わせるのか【2026年最新ルポ】
まだ街が眠りの中に立つ早朝5時。仕込み場にはすでに独特の緊張感が漂っている。その日に捌く地鶏は、信頼する契約農家から直送される極上品のみ。部位ごとの筋肉のつき方、脂のノリ、皮の厚みを指先で見極めながら、寸分の狂いもなく串に刺していく。
「串打ち3年、焼き一生」という言葉があるが、ここではその言葉すら甘く聞こえる。肉の繊維の向きを見極め、炭火の熱が均一に通るようミリ単位で調整される仕込み。この地道で過酷な手作業こそが、夜の宴で客を歓喜させる確かな土台となっているのだ。