お酒で顔が赤くなるのはなぜ?Aldh2遺伝子の真実と食道がんリスク
少量の飲酒ですぐに赤くなる体質は、単に「お酒に弱い」という体質の問題では片付けられません。世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(IARC)は、アセトアルデヒドを明確な発がん性物質(グループ1:人に対して発がん性がある)に分類しています。
ALDH2の働きが弱いフラッシャー体質の人が日常的にお酒を飲み続けると、口腔、咽頭、喉頭、そして食道の内壁が、高濃度のアセトアルデヒドに長時間さらされることになります。消化器内科やがん疫学の研究データによると、お酒で赤くなる体質の人が毎日大量飲酒を続けた場合、赤くならない人と比較して食道がんのリスクが格段に跳ね上がることが確認されています。喫煙習慣が重なった場合、その相乗効果によってリスクは非飲酒・非喫煙者の数十倍から百倍以上にも達することが国内外の臨床疫学調査で裏付けられています。
さらに、血管の急激な収縮・拡張を繰り返すことによる高血圧の進行、心筋梗塞などの心血管イベント、さらには大腸がんの発症リスク上昇など、全身の健康に対する悪影響は食道がんのみにとどまりません。「赤くなるのは血行が良くなっている証拠だから健康にいい」という過去の俗説は、現代医療においては完全な誤謬と断定されています。