2008年ガソリン価格高騰の真相|185円最高値と暫定税率の混乱を検証

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2008年のガソリン価格問題を語る上で欠かせないのが、税制を巡る前代未聞の政治的混乱です。道路整備の財源として1970年代から上乗せされてきた「暫定税率(揮発油税および地方道路税で合計1リットルあたり約25.1円)」の適用期限が、2008年3月31日に迫っていました。

参議院で野党が多数派を占める「ねじれ国会」の下、野党第1党だった民主党は「生活直結」を旗印に暫定税率廃止を猛烈に主張。「ガソリン値下げ隊」と銘打った議員グループを結成して国会内で徹底抗戦を繰り広げ、歳入関連法案の年度内成立が阻止されました。

その結果、2008年4月1日をもって暫定税率が失効。ガソリン税約25.1円分が突如として消滅しました。しかし、流通現場では事前に高税率で仕入れた在庫が存在したため、即日値下げできるスタンドと値下げできないスタンドに二分され、消費者の不満が噴出しました。

さらに事態を悪化させたのが、そのわずか1カ月後の展開です。福田康夫内閣(当時)と与党は、2008年4月30日の衆議院本会議において、憲法第59条第2項に基づく「3分の2以上の賛成による再可決」を行使。2008年5月1日より暫定税率を電撃復活させたのです。

4月30日の夜、全国のガソリンスタンドには「明日から25円値上がりする前に満タン給油しておこう」と殺到したドライバーによる数時間待ちの大渋滞が発生しました。給油制限や燃料の在庫切れ、夜を徹した計量器の価格変更作業など、現場の給油所スタッフは限界まで疲弊し、流通網は大パニックに陥りました。政策の迷走が直接国民生活と現場を振り回した典型例として、今なお語り継がれています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。