1997年神戸事件から29年:デジタル社会で再燃する「少年A」の匿名性と知る権利の衝突
2015年、事件から18年の歳月を経て刊行された加害者本人の手記『絶歌』は、社会に再び激甚な波紋を呼んだ。遺族への事前連絡がないまま出版されたことに対する批判、出版社の倫理的責任を問う声、そして書籍の売り上げに伴う印税のあり方について、メディアと市民の意見は真っ二つに割れた。
さらに、著者が独自に開設した公式ウェブサイトや有料コンテンツの発信は、更生と反省の意図を疑わせる結果となった。「少年A」自身が自発的に公の場へと露出を試みたことで、ネット上の本名特定運動や過去の言動に対する再検証の機運が再燃したことは否定できない。