戦前の日本は本当に暗かったのか?写真と物価で紐解く庶民の真実
食文化の観点から戦前の日本 食生活を観察すると、現在私たちが親しんでいる定番メニューのルーツがこの時代に集中していることが確認できます。「三大洋食」と称されたカレーライス、コロッケ、豚カツが洋食屋の看板メニューとして大衆化し、一般家庭の献立にも徐々に取り入れられていきました。森永製菓のミルクキャラメルや明治の板チョコレート、キリンやアサヒの瓶ビール、三ツ矢サイダーといった加工食品・飲料が日常に浸透したのも戦前の出来事です。
ただし、主食に関する人々の意識には特有の課題が存在しました。江戸時代からの憧れであった「純白の白米」を主食とすることが豊かさの象徴とみなされ、副菜を切り詰めてでも白米を山盛り食べる習慣が都市部を中心に定着。その結果、ビタミンB1不足による「脚気(かっけ)」が国民病として猛威を振るい、多くの人々を苦しめました。対照的に農村部では、麦や粟(あわ)、稗(ひえ)を混ぜた雑穀飯に味噌汁、漬物、干物が主体の質素な食事が続き、栄養状態の偏りは社会的な健康課題として横たわっていました。