職務質問はどこから違法?最高裁が無罪を認めた判例と拒否の境界線
職務質問は犯罪の予防や検挙を目的としていますが、警察官が暴走して権限を逸脱した場合、裁判所は極めて厳しい司法判断を下します。その代表例が、職務質問の違法捜査による無罪判決です。
司法関係者の間でも度々議論される著名な刑事裁判において、職務質問から逃走を図った男性に対し、追跡した警察官が背後からヘッドロックをかけて路上に組み伏せ、大麻約28.67グラムを押収した事案がありました。検察側は公務執行妨害罪および大麻取締法違反で懲役2年を求刑しましたが、裁判所は警察官による制圧行為を「任意捜査の許容限度を著しく超えた重大な違法行為」と認定。職務質問および現行犯逮捕の手続き全体が違法であったとして、押収された大麻の証拠能力を否定し、両罪について完全な無罪判決を言い渡しました。
この判決の根底にあるのが、最高裁判所が確立してきた違法収集証拠排除法則の判例(最決昭53.9.7等)です。憲法が定める適正手続(デュー・プロセス)を無視して集められた証拠は、たとえ現実に違法薬物や危険物が発見されたとしても、裁判の証拠として採用してはならないという厳格な法理が適用された結果といえます。