ミスチル『彩り』歌詞の深層と誕生秘話|なぜ働く人の涙を誘うのか

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本作の誕生を語る上で欠かせないのが、2007年当時のバンドのモードとミスチル彩りアルバムHOMEのコンセプトです。当時の音楽専門誌のインタビューにおいて、桜井和寿は前作『I ♥ U』で人間の内面や衝動、壮大なスケールの愛を極限まで突き詰めた反動から、「次は誰もが暮らす日常や、家族、食卓といったごく身近な生活の温度感を描きたい」と語っていました。

この桜井和寿彩り制作秘話が示す通り、巨大なスタジアムで何万人もの観客を熱狂させるロックスターとしての立場から、コンビニエンスストアの店員やオフィスで書類を作る会社員と同じ地平に立ち返る試みこそが、『彩り』の出発点でした。自身が音楽を作ること自体も「スタジオでの地道な作業の積み重ね」であるという認識が、楽曲全体に漂う謙虚で誠実なトーンを決定づけています。

また、本作は当時宮﨑あおいが出演したミスチル彩りオリンパスCMソング(デジタル一眼レフカメラ『E-410』『E-510』CM)としても広く親しまれました。「写真を撮る」という日常の瞬間を切り取る行為と、何気ない風景を彩り豊かな記憶に変えていく楽曲の親和性は極めて高く、テレビCMを通じて老若男女の記憶に深く刻み込まれることとなりました。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。