サカナクション『スローモーション』歌詞の真実|山口一郎が描いた孤独と時間感覚の深層
『スローモーション』の歴史を紐解く上で欠かせないのが、その発売日の経緯と制作秘話です。本作は2014年10月29日に通算10枚目のシングル『さよならはエモーション / スローモーション』として、両A面仕様で世に送り出されました。
当時、サカナクションは前作アルバム『sakanaction』の大ヒットや幕張メッセ・大阪城ホール規模のツアー成功を経て、バンドとして巨大な商業的成功とそれに伴う重圧の渦中にありました。ボーカル&ギターの山口一郎は、インタビューやメディアの現場証言において「アイデア自体はインディーズ時代や初期の頃から温めていたメロディの断片があった」と明かしています。長年寝かせていた普遍的な旋律を、成熟したバンドのアンサンブルと最新の電子音楽プログラミングで再構築したのが本作でした。
後に本作は、足かけ6年の歳月をかけて完成した2枚組の金字塔的コンセプトアルバム『834.194』のDisc 2(東京側を示す「194」)に収録されます。札幌(834km)と東京(194km)の距離感、そしてメジャーシーンの第一線で戦い続ける中で生じる違和感や孤独感が、この楽曲の底流には静かに流れています。