プーチン長女マリア・プーチナの現在|制裁下で小児科医が歩む実態
ロシア国内における市民の受け止め方は、公式プロパガンダと庶民感情の間で著しく分裂している。国営テレビでマリア氏が「ロシアの遺伝子研究の未来」について理知的に語る姿が放映されると、年配層や熱狂的な愛国層からは「大統領の血を引く優秀で気品ある科学者」として称賛の声が上がる。
一方で、テレグラム(Telegram)上の独立系チャンネルや若い世代の意見を検証すると、冷笑的な反応が目立つ。多くの一般市民が厳しいインフレや戦時体制下の動員圧力に喘ぐなか、「大統領の娘たちだけは、実力とは無関係に巨大企業のトップに据えられ、巨額の国家予算をほしいままにしている」というネポティズム(縁故主義)への憤りが鬱積している。公の場で「人命の尊さ」を説く医師でありながら、隣国への軍事侵攻や数万人規模の国民の犠牲に対して公的な異を唱えたことは一度としてない。