スイス人はなぜ英語が通じるのか?4つの公用語と驚きの英語力の実態

スイス人はなぜ英語が通じるのか?4つの公用語と驚きの英語力の実態の疑問点について、最新情報を基に徹底解説します。

スイスでこれほど英語が話せる背景には、単なる国際化や観光需要にとどまらない、国家構造に根ざした切実な理由が存在します。その核心にあるのが「国内の共通語(リンガ・フランカ)としての英語の台頭」と「高度な多言語教育システム」です。

スイス国内の言語人口比率は、ドイツ語圏が約62%、フランス語圏が約23%、イタリア語圏が約8%、ロマンシュ語が約0.5%となっています。従来、学校教育では「お互いの公用語(ドイツ語圏の生徒はフランス語、フランス語圏の生徒はドイツ語)」を学ぶことが義務付けられていました。しかし、文法体系も語彙も大きく異なる相手の公用語を習得するのは生徒にとって負担が重く、心理的な言語の壁が存在していたのです。

そこで浮上したのが英語でした。中立的な立場を持つ英語を共通言語として採用することで、言語圏同士の不公平感を解消し、効率的な意思疎通を図る動きが加速しました。現在では、チューリッヒ(ドイツ語圏)のビジネスパーソンとジュネーブ(フランス語圏)の担当者が、国内の会議をあえて英語で進行する光景が日常茶飯事となっています。

さらに教育面では、スイスの各州(カントン)が導入する「多言語教育の仕組み」が功を奏しています。多くの公立校では、小学校低学年から母語の読み書きを固めた後、小学校3〜5年生の段階で第1外国語(他の公用語または英語)を導入し、さらに数年以内にもう一方の言語を開始します。つまり、中学校を卒業する段階で最低でも3言語に触れるカリキュラムが標準化されており、言語学習に対する認知的アプローチが幼少期から身体に染み付いているのです。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。