土と対話し日常を紡ぐ陶芸家・亀井紀子の軌跡|「陶工房もちの木」が魅せる手仕事の美学
2014年、長い下積み時代を経た亀井紀子は、愛媛県松山市末広町に自らの工房である「陶工房もちの木」を開きました。工房の窓からは緑豊かなモチノキが臨め、穏やかな風が通り抜けます。自然のサイクルを感じながら作陶に没頭できるこの場所は、彼女にとって最高の創造の拠点となりました。
「もちの木」という親しみやすい工房名には、地域に根差し、樹木が時間をかけて太い幹を育てるように、じっくりと味わい深い作品を作り続けたいという意図が込められています。
松山市は、古くから砥部焼をはじめとする陶磁器文化が息づく地域です。伝統を受け入れる風土と、豊かな自然環境が、亀井の創造性を研ぎ澄ませていきました。土と向き合い、窯の火と対話し、一つひとつの作品に生命を吹き込む作業が、ここで日々繰り返されています。