見た目はソックリ、中身は別物!プロが解き明かす「ビーフストロガノフ」と「ハヤシライス」決定的な食文化の境界線
舌に触れた瞬間のファーストインパクトを左右するのが、ソースのベースと酸味の質だ。ビーフストロガノフの絶対的なアイデンティティは、仕上げに加える「サワークリーム」にある。フォンドボーやバターの濃厚なコクに、爽やかな乳酸の酸味が加わることで、重厚でありながら後味は驚くほど軽やかになる。本国ロシアではトマトを一切使わない伝統的レシピも多く、白い仕上がりや淡いベージュ色のストロガノフも珍しくない。
一方、ハヤシライスの味を決定づけるのは、時間をかけてじっくり煮詰めた「デミグラスソース」と「トマトペースト」またはケチャップの甘酸っぱさだ。香ばしい苦味と深いコク、そしてトマト由来のフルーティーな酸味が白飯の甘みと強烈に響き合う。日本人の好む「ご飯が進む濃密な旨味」を突き詰めたのがハヤシライスなのだ。