認知症になりやすい薬の真実|睡眠薬や胃薬のリスクと最新研究を徹底検証
個別の薬剤リスク以上に現代の高齢医療で問題視されているのが、高齢者のポリファーマシー(多剤併用)問題です。加齢とともに複数の慢性疾患を抱えるようになると、内科、整形外科、泌尿器科、眼科など異なる医療機関から次々と薬が処方されます。
厚生労働省の調査・研究データによると、処方薬が6種類以上になると、薬物有害事象(副作用)の発生頻度が跳ね上がることが分かっています。高齢者の体内では、肝臓の代謝機能や腎臓の排泄機能が若年層に比べて30〜50%程度低下しているため、薬剤が体内に長く留まりやすく、相互作用による中枢神経への悪影響が増幅します。
ここで最も警戒すべき現象が「処方カスケード」と呼ばれる悪循環です。
たとえば、血圧の薬の副作用で足がむくみ、その治療のために利尿薬が追加される。利尿薬の影響で夜間頻尿になり、泌尿器科で抗コリン薬が処方される。その抗コリン薬のせいで口渇や物忘れ、不眠が生じ、心療内科でベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬が足される——。このように、「薬の副作用を別の薬で抑え込もうとする連鎖」によって、最終的に患者が重度の認知症のような状態に陥ってしまう事例が現場で頻発しています。