千代の富士の身長と体重の真実|小柄なウルフが巨漢をねじ伏せた肉体革命
筋肉の鎧を手に入れた千代の富士の取り口は、劇的な進化を遂げました。それまでの力任せな強引な投げを捨て、立ち合いから電光石火のスピードで踏み込み、左前ミツを深く引いて頭をつけるスタイルを徹底したのです。
その真骨頂が、1980年代後半に日本中を熱狂させた千代の富士 小錦 対決の真相です。当時、体重250kgを超え「ダンプカー」と恐れられたハワイ出身の巨漢・小錦に対し、千代の富士は約半分の120kg台。正面からぶつかれば圧殺される危険がある中で、千代の富士は物理法則を応用した巧みな相撲力学を展開しました。
立ち合いで低く鋭く当たり、相手の巨腹の下に潜り込んで重心を浮かせ、強靭な握力で前ミツを掴んで密着。相手の巨体が旋回する遠心力を利用し、一瞬のタイミングで下手投げや寄り切りを繰り出しました。通算対戦成績でも大きく勝ち越し、体格差を理由に諦めないその姿は、日本中のサラリーマンや子供たちに熱狂的な勇気を与えました。
この技術と肉体の融合が結実したのが、1988年(昭和63年)に打ち立てた千代の富士 53連勝記録です。夏場所7日目から九州場所初日にかけて継続したこの大記録は、昭和の大横綱・双葉山の69連勝に次ぐ歴代屈指の金字塔となりました。相手力士がどれほど大型化しようとも、一歩も引かずに前へ出続ける「ウルフの相撲」は、まさに円熟期の極みに達していました。