岡田准一版『白い巨塔』徹底検証|唐沢版との比較と賛否の真相

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本作のキャスティングにおいて、最も絶賛を集めた要素の一つが、財前を取り巻く人間相関図の緊張感です。主役級の演技派が隙間なく配置され、密室の権力闘争を繰り広げました。

とりわけ対照的な輝きを放ったのが、里見脩二を演じた松山ケンイチです。江口洋介が演じたどこか情熱を秘めた里見に対し、松山版の里見は極めて静謐で、科学者・臨床医としての誠実さを淡々と貫くスタイルを取りました。怒鳴ることもなく、感情を爆発させることもなく、ただまっすぐに財前の目を見つめて語りかける松山の静かな演技は、岡田が演じる猛々しい財前五郎との見事なコントラストを形成していました。

そして、財前の愛人であるバー「アラジン」のホステス・花森ケイ子を演じた沢尻エリカの存在感は圧巻の一言でした。財前の野心も弱さもすべて呑み込み、利害関係を超えた知性で彼を支えるパートナーとしての風格。黒木瞳版ケイ子が見せた妖艶で上品な佇まいとはまた異なる、乾いたリアリズムと深い情愛を漂わせた沢尻の怪演は、放送中からSNSでも「史上最も切なく魅力的なケイ子」として大きな賞賛を集めました。

脇を固めるベテラン勢の布陣も強烈です。財前を失脚させようと執念を燃やす東貞蔵教授役の寺尾聰、保身と権威の象徴である鵜飼医学部長役の松松重豊、そして清廉潔白を貫く大河内教授役の岸部一徳。義父・財前又一を演じた小林薫の下品さと金銭感覚のリアリズムも加わり、重鎮たちの顔芸とも言うべき鍔迫り合いが、5夜連続のテンションを一度も緩ませることなく牽引しました。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。