【Hunter×Hunter】狂気から聖女へ――パーム=シベリアの変貌と「キメラアント編」が残した深遠な人間愛
物語の終局において、パームが果たした役割は単なる戦闘員にとどまらない。死を前にしたキメラアントの王メルエムと、彼を愛した盲目の少女コムギ。二人が軍儀盤を挟んで静かに毒に侵されていく最後のひとときを、パームは「寂しい深海魚」の力で見つめ続けた。
人類を滅ぼすはずだった絶対的暴君が、一人の人間の腕の中で穏やかに息を引き取る。その一部始終を目撃したパームの瞳にあったのは、かつての敵意や復讐心ではなく、言葉を絶するほどの静謐な慈悲だった。彼女が観測者として存在したからこそ、あの悲しくも美しいクライマックスは作品の歴史に永遠の重みとして刻み込まれたのだ。