突然の失神は完全房室ブロック?心電図・原因とペースメーカー適応
完全房室ブロックに対しては、アトロピンやイソプロテレノールといった薬剤が一時的な救急処置として用いられることはあるものの、恒久的に伝導を回復させる内服薬は存在しません。
日本循環器学会の「不整脈非薬物治療ガイドライン」において、症状を伴う完全房室ブロック、あるいは無症状であっても覚醒時に心停止が3秒以上記録される場合や心拍数40回/分未満が持続する場合は、「ペースメーカー植込み術(クラスI適応:施行すべき絶対的適応)」と明記されています。
現代のペースメーカー治療は目覚ましい進化を遂げています。
- 経静脈的ペースメーカー(従来型):前胸部の皮下に本体を植え込み、静脈を経由して心臓内にリード(導線)を留置する確立された手法。
- リードレスペースメーカー:カプセル型の小型機器を大腿静脈から直接心室内に留置。皮下ポケットや血管内リードが存在しないため、感染症や断線リスクが大幅に低減。
- 伝導系ペーシング(CSP):心臓本来の刺激伝導路(ヒス束や左脚)を直接刺激し、より自然で協調した心室収縮を再現する生理的ペーシング技術。
気になる治療後の予後ですが、適切なペースメーカー植込みを行った患者の生命予後は、同年代の健常者とほぼ同等まで改善します。未治療のまま放置した場合の1年生存率が著しく低下することと比較すれば、ペースメーカーはまさに劇的な延命効果と生活の質(QOL)向上をもたらす治療法です。