元阪神・横田慎太郎が遺した数々の伝説|奇跡のバックホームと闘病の真相

元阪神・横田慎太郎が遺した数々の伝説|奇跡のバックホームと闘病の真相の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。

横田慎太郎さんがプロ野球界に刻んだ最大のハイライトといえば、2019年9月26日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦(鳴尾浜球場)における引退試合のバックホームです。このプレーは単なる「引退の花道」ではなく、人間の意志が生んだ奇跡として球史に語り継がれています。

当時の報道各社の取材データや本人の自伝『奇跡のバックホーム』(幻冬舎)によると、横田さんは脳腫瘍の治療に伴う後遺症により、視界がぼやけてボールが二重・三重に見える深刻な視覚障害を抱えていました。打撃練習では球がかすんでバットに当たらず、守備でもフライの距離感が全くつかめない極限状態だったのです。

迎えた引退試合の8回表、センターの守備位置に就いた横田さんの前に、2死二塁の場面でライナー性の打球が飛んできました。打球の位置を正確に視認できない中、横田さんは長年の猛練習で体に染みついた感覚だけを頼りに前進・捕球し、本塁へノーバウンドのストライク送球を投じました。走者を見事にタッチアウトにし、球場中が涙と歓声に包まれた瞬間でした。

後に横田さんは特番インタビュー等で「あの時だけはボールがはっきりと見えた。誰かが背中を押してくれたような感覚だった」と述懐しています。視力を失いかけていた青年が、最後に放った魂の一投――それこそが、今なお多くの人の心を揺さぶる「奇跡のバックホーム」の真実です。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。