定助のスタンド「ソフト&ウェット」真の強さとゴー・ビヨンドの正体
詳細を見る
この特異なスタンドが生まれた根本原因は、定助自身の特異な存在成立過程にあります。東方定助が吉良吉影と空条仗世文の融合体である理由は、杜王町の地下に眠る「壁の目」の土壌と、万病を治す代わりに体を石化・交換する奇跡の果実「ロカカカ」にありました。仗世文が瀕死となった親友・吉良を救うため自らを犠牲にして禁断の新ロカカカを摂取した結果、二人の肉体と魂は崩壊と再構築を繰り返し、奇跡の青年・定助として再構成されたのです。
この融合はスタンド能力にも完全に反映されています。仗世文の本来のスタンドは、物体や自身の髪の毛などを繋ぎ止める「接着」に近いシャボン玉を射出する能力でした。一方、吉良吉影(第8部)のキラークイーンは「接触したものを爆破するシャボン玉」を操っていました。両者が融合したことで、キラークイーンの爆走する破壊エネルギーが仗世文のシャボン玉の内部に封入され、結果として「触れたものを奪い取る」「内部に破壊的な衝撃を宿す」というハイブリッドな新スタンドが誕生するに至ったわけです。
さらに注目すべきは、その元ネタとなった洋楽の存在です。「ソフト&ウェット」の名称は、天才ミュージシャン・プリンス(Prince)が1978年に発表したデビューアルバム『愛の賛歌(For You)』に収録された代表曲「Soft and Wet」から名付けられています。官能的で柔らかく、かつ鋭利なファンクビートを刻む名曲の精神性は、人型スタンドの洗練されたロボットのような質感、水滴やシャボン玉をモチーフとするウェットな意匠に見事に昇華されています。荒木飛呂彦氏が敬愛するプリンスの音楽性が、スタンドのデザインとコンセプトに鮮烈な美学を注入していることは、ファンの間でも広く知られています。