ハイジとペーターは結婚した?原作の結末と車椅子事件の真相解明
原作を読んだ読者が最も驚愕するエピソードが、ペーターによる車椅子の破壊工作です。ネット上で「原作のペーターはクズ」「犯罪行為」と過激に揶揄される理由のすべてはこの場面に集約されています。
フランクフルトから療養のためにアルムの山へやってきたクララは、ハイジの関心を完全に独占します。ハイジと毎日ヤギを連れて山へ登っていたペーターにとって、クララの存在は自らの居場所と唯一の理解者を奪う脅威にほかなりませんでした。ペーターの胸中に渦巻いたのは、言葉にできない孤立感と猛烈な嫉妬心でした。
「あの車椅子さえなくなれば、クララは山にいられなくなって町へ帰るに違いない」――そう思い詰めたペーターは、ある早朝、小屋の外に置かれていたクララの車椅子を力任せに崖下へと突き落とし、粉々に破壊してしまいます。
しかし、この短絡的な破壊行為は思いがけない結末をもたらします。乗り物を失ったことで、クララは自らの足で立ち上がり、アルムの雄大な自然とおじいさん、ハイジの支えを受けながら歩行訓練に挑むことになったのです。結果としてペーターの悪意は、クララが歩けるようになる決定的な引き金となりました。
車椅子を壊した後のペーターは、激しい罪悪感と恐怖に苛まれます。フランクフルトから警察が自分を捕まえに来るという妄想に怯え、精神的に追い詰められていきました。最終的にハイジの温かい説得とクララの祖母(ゼーゼマンのおばあさま)の慈愛に触れたペーターは、自らの罪を涙ながらに告白します。
ここで重要なのは、祖母がペーターを断罪・処罰するのではなく、「正直に話した勇気」を称え、彼に毎週小遣いを与える約束を交わした点です。シュピリが伝えたかったのは悪行への懲罰ではなく、キリスト教的な悔い改めと無条件の赦し(贖罪)の尊さでした。