【2026年現地ルポ】函館の真の動脈「五稜郭駅」をめぐる地殻変動——観光客の錯覚から始まる、再開発と鉄路の未来
観光パンフレットを片手に降り立った旅行者が、駅前でスマートフォンを覗き込み、一瞬フリーズする光景はいまも珍しくない。星型の城郭で有名な五稜郭公園へ行くには、ここからバスかタクシー、あるいは市電の停留所まで歩く必要があるからだ。しかし、この「2キロの物理的距離」が今、面白い化学反応を起こしている。
徒歩での移動を余儀なくされた旅行者たちが、昭和の面影を残す駅前商店街や、地元密着型の居酒屋、隠れ家的なカフェを発見する回遊ルートが定着し始めた。駅前で半世紀以上続く惣菜店の店主は「以前は『道に迷った』と駆け込んでくる観光客ばかりだったが、最近はわざわざこの街並みを歩きたくて降りる若い世代が増えた」と語る。