教科書で変わった?隠れキリシタンと潜伏キリシタンの決定的な違い
30代以上の世代であれば、学校の日本史や社会科の授業で「隠れキリシタン」と一括りに教わった記憶が強いはずです。かつては江戸時代の信徒全般を指して「隠れキリシタン」と呼ぶのが一般的でした。しかし現在の中学校・高校の歴史教科書では、江戸時代の信徒を「潜伏キリシタン」と表記することが標準となっています。
この変化を後押しした最大の契機が、2018年にユネスコ世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」です。
世界遺産の推薦過程において、日本の歴史学会や文化庁は、禁教期に共同体を維持しながら信仰を隠し通した文化的伝統を世界へ正確に伝えるため、歴史用語の再定義を行いました。司祭がいない中で組織を維持し、密かにカトリックの教義を伝え続けた江戸時代の人々を「潜伏」、禁教が解けた近代以降も土着化した儀礼を維持した人々を「かくれ」と明確に区分したのです。
研究の進展によって「弾圧に耐えていた期間」と「自由を得た後の信仰の選択」が厳密に整理された結果、教科書をはじめとする公的な記述も「潜伏キリシタン」へと統一されていきました。