キリスト壁画修復の真相とは?80代女性の失敗劇から大逆転の現在まで
事件から10年以上が経過した現在、あの「エッケ・ホモ」は一過性のネットミームに終わることなく、スペインの確固たる現代カルチャーの聖地として定着しています。
教会内部の壁画は現在、特殊な保護アクリルパネルで厳重に保護されており、隣接するビジターセンターでは修復事件の全経緯を解説する展示コーナーが常設されています。来場者が自分自身で「エッケ・ホモ」を描く体験型キャンバスや、世界中から寄せられたファンアートが展示され、年間を通じて多くの旅行者で賑わっています。
高齢となったセシリア・ヒメネス氏も、地元ボルハでは「町を救った名誉市民」として深い敬愛を集めています。彼女がもたらした収益は、地元の高齢者介護ホームの運営補助金として現在も活用され続けており、まさに善意が巡り巡って地域社会を支える奇跡の循環が続いています。
一方で、この事件をきっかけにスペイン国内では「ずさんな修復トラブル」が可視化されるようにもなりました。後述するような別の修復失敗例が相次いだことで、スペイン美術修復家協会(ACRE)などを中心に、文化財保護法の厳格化や専門技術者による修復の義務付けを求める議論が本格化する契機ともなっています。