民謡の歌い方はポップスと何が違う?プロが教える「こぶし」習得の極意
「民謡を歌うとすぐに声が枯れてしまう」と悩む人の原因は、喉の使い方そのものよりも「呼気圧を支える下半身の脱力と腹式呼吸」の不足にあります。西洋声楽の腹式呼吸がお腹全体をふくよかに膨らませるイメージであるのに対し、民謡の腹式呼吸は日本の武道や農作業の姿勢(丹田への落とし込み)と密接に結びついています。
伝統的な民謡指導において、「腰を据えろ」「重心を落とせ」と口酸っぱく言われるのは単なる精神論ではありません。骨盤をわずかに後傾させ、膝を軽く緩めて重心を下げると、骨盤底筋群と腹横筋が自然に引き締まります。この状態で声を出すと、喉を締め付けずとも下腹部からピストン運動のように強力な息の圧力が声帯に供給されるため、喉の摩擦を防ぎながら圧倒的な声量アップが実現するのです。
息を吸う際は、肩を一切上げず、背中側と腰回りに空気を充填します。そして歌い出す瞬間は、お腹をへこませるのではなく、「内側から外側へ張り返す」ように下腹を保ちます。この「息の支え」ができて初めて、喉を痛めずに何曲でも力強い地声を響かせ続けることが可能になります。