牛乳を混ぜる魔法から50年!フルーチェが愛され続ける歴史と進化
ボウルにフルーチェの素を入れ、冷たい牛乳を加えて混ぜるだけで、サラサラだった液体が数秒でぷるぷるとしたとろみを持つデザートに変化します。この手品のような現象の鍵を握っているのが、植物の細胞壁などに含まれる天然の多糖類「ペクチン」です。
フルーチェの原液には高濃度のペクチンが配合されており、ここに牛乳を注ぐことで、牛乳に含まれる「カルシウムイオン」とペクチンが瞬時に結合します。この化学結合によって網目状の立体構造が形成され、水分を抱き込みながら固まる「ゲル化反応」が起こります。加熱や長時間の冷却を一切必要とせず、スプーンで混ぜるだけの物理的な刺激で均一に反応が進むよう、ハウス食品はペクチンの種類やpH(酸性度)のバランスを極限まで計算し尽くしました。
なお、家庭で作る際に「固まらない」という声が上がることがありますが、これは使用する牛乳の種類に起因します。成分無調整の「牛乳」であれば十分なカルシウムが含まれているためしっかり固まりますが、カルシウム濃度の低い「乳飲料」や「加工乳」、あるいは大豆由来でカルシウムの結合様式が異なる「豆乳」では網目構造がうまく作られません。シンプルな手軽さの裏には、緻密な食品科学の計算が息づいています。