い志かわ高級食パン大量閉店の真相と現在|ブーム終焉の裏側を徹底追及
2010年代後半から2026年代初頭にかけて列島を席巻した高級食パンブーム。「い志かわ」もその中心的なプレイヤーとして、名古屋から全国へと急速に店舗網を拡大しました。しかし、ピークを過ぎると一転して撤退が相次ぎました。帝国データバンクのパン製造・小売市場動向や外食業界の定点観測データからも、高級食パン業態の店舗数が急減した事実が裏付けられています。現場の取材と業界分析から浮かび上がる閉店理由は、主に次の3点に集約されます。
第1の要因は、「日常食」と「嗜好品(ギフト)」のギャップによる需要の急減です。1本(2斤)で1,000円前後の高級食パンは、ブーム当初「自分へのプチ贅沢」や「手土産」として爆発的な引き合いがありました。しかし、コロナ禍の巣ごもり需要が一段落すると、消費者の関心は日常的な食費の引き締めへとシフトしました。日常的に食べるには高価格であり、手土産としての目新しさも薄れたことで、リピート購入の頻度が大きく落ち込んだのです。
第2の要因は、原材料価格およびエネルギーコストの歴史的高騰です。パンの主原料である輸入小麦の価格改定が相次いだほか、バターなどの乳油脂類、焼き上げに必要な電気・ガス代、配送コストが数年で大幅に上昇しました。薄利多売ができない高級食パン業態において、製造原価の高騰は利益率を直撃し、採算ラインを著しく引き上げました。
第3の要因は、フランチャイズ(FC)主導による急激な拡大と市場の過密飽和です。短期間に多くの出店を行った結果、自社店舗同士の商圏重複や競合チェーンとのシェア争いが発生しました。「どこでも買えるようになったこと」が皮肉にもブランドの希少価値を損ね、客足が遠のいたFC加盟店の早期撤退につながりました。