エベレスト「眠れる美女」の正体とは?遺体が語る壮絶な遭難の真相
エベレストには現在も200体以上の遺体が残されていると推計されています。なぜ遺体はすぐに収容されず、そのまま現場に残されてしまうのでしょうか。そこには極高所ならではの過酷な壁が存在します。
最大の理由は、遺体回収作業に伴う極限の二次遭難リスクです。標高8,000メートルを超える高所では、ヘリコプターが空気の薄さから飛行できません。凍り付いて100キログラム以上の重量となった遺体を運び下ろすには、屈強なシェルパ(現地の山岳ガイド)が6名から8名以上必要となり、作業員自身が命を落とす危険性が極めて高くなります。
さらに、遺体回収にかかる費用は1体あたり500万円から1,500万円以上(数万ドルから10万ドル超)に達します。遺族が莫大な費用を用立てられないケースや、危険を冒してまで他人の命を危険に晒したくないと回収を望まないケースも少なくありません。
その結果、北稜ルートの岩陰に横たわる「グリーンブーツ」と呼ばれる遺体や、数多くの遭難者が滑落して折り重なる「レインボーバレー(色とりどりの登山ウェアに由来する通称)」のように、遺体が登山ルートの「目印(ランドマーク)」として機能してしまうという残酷な現実が生まれています。