毛虫に刺されたら絶対掻くな!跡を残さない応急処置と市販薬の選び方
患部に違和感を覚えた瞬間、絶対に手で擦ったり掻きむしったりしてはなりません。この警告には、皮膚病理学的な明確な根拠が存在します。毒蛾類の代表格であるチャドクガの幼虫には、1体につき約50万本から数百万本もの毒針毛が密生しています。この毒針毛のサイズは長さわずか0.1ミリメートル前後と肉眼ではほぼ確認できないほど微細で、先端には無数の「返し」がついています。
皮膚に触れた段階では、毒針毛は表皮に軽く付着しているに過ぎないケースが多々あります。しかし、そこで手で患部を掻いてしまうと、摩擦によって毒針毛が皮膚の奥深く(真皮層)へと押し込まれ、先端の返しによって組織へ強固に固定されてしまいます。それだけでなく、掻いた指先や手のひらに毒針毛が付着し、首筋、腕の内側、太もも、さらには目をこすった際の角膜へと、自らの手で毒を塗り広げる「自家中毒的拡大」を引き起こすのです。
被害を最小限に食い止めるための正しい毒針毛の除去方法は、患部に直接手を触れず、粘着テープを活用することです。外出先や家庭にあるセロハンテープやクラフトテープを患部にそっと乗せ、皮膚を引っ張らないよう静かに剥がすガムテープでの応急処置を数回繰り返します。この際、患部を強く圧迫すると針が深く刺さるため、テープの粘着力だけで毛を浮かせて取り除く意識が重要です。
テープによる除去を終えたら、勢いの強すぎない流水(水道水やシャワー)を患部に静かに当て、皮膚表面に残った目に見えない毒成分を洗い流します。このときも、石鹸を手で泡立てて強く擦る行為は避け、泡を優しく乗せて洗い流すにとどめてください。