獣になれない私たち結末の真相とネタバレ!賛否呼ぶ大人の恋と仕事の行方

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視聴者の間で最も大きな議論を呼んだのが、最終回(第10話)で描かれた結末の真相です。王道のテレビドラマであれば、晶と恒星が劇的な告白を経て恋人同士となり、悪徳社長を痛快に打ち負かしてハッピーエンドを迎える展開が期待されがちでした。しかし、脚本家・野木亜紀子が描いたラストは、極めて誠実でビター、そして現実的な「再生の物語」でした。

最終盤における登場人物たちの選択は、それぞれの「人生の主権の奪還」に集約されています。

まず主人公の深海晶は、過呼吸で倒れる寸前まで追い込まれながらも、九十九社長と真っ向から対峙します。「社長の怒鳴り声に怯えながら働くのはもう限界です。私は社長の持ち物ではありません」と涙ながらに胸中をぶつけ、正式に退職届を提出。会社という安全網を手放し、キャリアの白紙化というリスクを背負いながらも、自分自身を尊重する選択を下しました。

一方、恋人の京谷とは、朱里の問題を含めた長年の依存関係を清算し、お互いを思いやりながらも正式に破局を迎えます。驚くべきは、元カノの朱里が晶との対話やツクモ・クリエイト・ジャパンでの短期勤務(派遣事務)という荒療治を経て、自らの足で部屋を出て自立への道を歩み始めたことです。「敵役」として描かれがちだった朱里すらも、野木脚本は一人の傷ついた人間として救済の手を差し伸べました。

根元恒星もまた、長年脅迫され加担させられていたクライアントの粉飾決算への協力を拒絶。税理士事務所を畳み、資格停止や社会的制裁のリスクを引き受けてでも、自らの誇りを取り戻す道を選びます。

そして迎えたラストシーン。舞台は5tapの開店2周年。かつて「鳴ると幸せになれる」と言われながら鳴らなかった教会の鐘を、職を失った晶と事務所を閉じた恒星の二人が聞きに訪れます。夕暮れの街に鐘の音が響き渡る中、二人は手をつなぐわけでもなく、将来の約束を交わすわけでもありません。ただ隣に立ち、穏やかな笑みを浮かべ合って「ビール、飲みに行こうか」と歩き出すのです。

この結末の真相について、当時のインタビュー記事やドラマ批評では「恋愛という分かりやすい関係性に回収されず、傷ついた二人が個として自立した上で、人生を共に歩む仲間となった最高のオープンエンド」と絶賛されました。安易なキスシーンや結婚ではなく、「お互いが自分の足で立ったからこそ、初めて対等に向き合える」という大人の真実を浮き彫りにした幕切れでした。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。