映画『あの頃、君を追いかけた』結末の真相と台湾・日本版の決定打

映画『あの頃、君を追いかけた』結末の真相と台湾・日本版の決定打の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。

2011年の台湾オリジナル版(監督:ギデンス・コー、主演:クー・チェンドン、ミシェル・チェン)と、2018年の日本版(監督:長谷川康夫、主演:山田裕貴、齋藤飛鳥)には、物語の骨格を同一にしながらも、演出やトーンに明確な違いが存在します。

台湾版の最大の魅力は、男子高校生の持つ生々しい下ネタやバカ騒ぎ、埃っぽい教室の空気感といった「剥き出しの熱量」にあります。授業中の自慰行為など過激な描写を臆さず盛り込み、それが思春期特有の過剰なエネルギーとしてリアリティを担保していました。これに対して日本版は、舞台を2000年代初頭の地方都市に移し、男子高校生特有の粗野さをマイルドに抑えつつ、登場人物たちの心の揺らぎや抒情的な美しさを前面に押し出しています。

とりわけ注目すべきは主演二人のアプローチです。山田裕貴は、オリジナル版の持つ破天荒な熱量と純真さを全身全霊の肉体言語で体現し、クライマックスでは泥臭いまでの切なさを引き出しました。一方、映画初出演にしてヒロイン・早瀬真愛を演じた齋藤飛鳥は、触れれば壊れてしまいそうな透明感と、誰もが手の届かない「クラスの聖花」としての圧倒的なアイコン性を放ち、日本的な美意識に根ざした青春の儚さを完成させています。

項目台湾オリジナル版(2011年)日本リメイク版(2018年)編集部の見解・評価舞台設定と時代背景1994年〜2005年の台湾・精誠中学および彰化県2000年代初頭の日本地方都市(台湾旅行シーン含む)台湾版は高度成長期の熱気、日本版はゼロ年代のノスタルジーが色濃い。作風・トーン下ネタ・悪ふざけを含む粗削りなパッションと泥臭さ情緒的で静謐、思春期の繊細な心理描写にフォーカス台湾版の勢いと日本版の叙情性は観客の好みが分かれるポイント。ヒロイン像優等生だが芯が強く人間味のある沈佳宜(ミシェル・チェン)近寄りがたい孤高の美しさと優しさを持つ早瀬真愛(齋藤飛鳥)ミシェルは現実の同級生感、齋藤飛鳥は幻想的な初恋像の極致。ラストの情感豪快な笑いと圧倒的な多幸感に包まれるカタルシス切なさと未練を噛み締めながら前進する余韻の美学どちらも新郎へのキスという核をぶらさず見事に着地させた。
山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。