メキシコは何語を話す?公用語が存在しない衝撃の真相と現地の実態

メキシコは何語を話す?公用語が存在しない衝撃の真相と現地の実態について分かりやすく解説いたします。最新の情報をお届けします。

日本国内の検索エンジンでも頻繁に見られる「メキシコ語」という言葉ですが、言語学上および国家の制度上、メキシコ語という単一言語は存在しません。日常生活、行政手続き、教育、メディアのあらゆる現場で使われているのはスペイン語であり、国家間の公的なやり取りもすべてスペイン語ベースで行われています。

にもかかわらず、メキシコ政府の公式文書や憲法第2条を精読しても、「スペイン語が唯一の公用語である」とはどこにも書かれていません。この背景には、2003年に公布された「先住民族言語権利一般法(Ley General de Derechos Lingüísticos de los Pueblos Indígenas)」の存在があります。この法律において、国家は「スペイン語および国内に存在する68の先住民族言語を、同等の効力を持つ『国語(Lenguas nacionales)』として承認する」と明確に規定しました。

つまり、法的には「スペイン語だけを特別扱いして公用語に指定すると、古くからその土地で生きてきた先住民族の権利や言語主権を侵害することになる」という人権配慮と多文化主義の観点から、あえて単一の公用語を制定していません。制度上は「69の国語が併存する国家」であり、その中で「事実上の公用語(de facto)」として人口の90%以上がスペイン語を運用しているというのが、メキシコ言語の現在と実態における最も正確な結論です。

前田 葵

前田 葵

サステナビリティ研究家

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。