米津玄師「Vivi」歌詞の深層|灰になって別れを選ぶ理由と愛の正体
米津玄師という表現者の原点を理解する上で、アルバム『diorama』のコンセプトを無視することはできません。本作は、外部プロデューサーやスタジオミュージシャンを一切交えず、作詞・作曲・編曲・プログラミング・歌唱・演奏はもちろん、ブックレットのイラストレーションから動画制作に至るまで、米津玄師がたった一人で完結させた箱庭(ジオラマ)です。
当時の音楽誌『ROCKIN'ON JAPAN』等のインタビューにおいて、本人は「自分の中に閉じた架空の街を作り、そこに住む人間たちの群像劇を描いた」という趣旨を明かしています。怪物や奇妙な住人たちが蠢く寓話的な街の中で、9曲目に配置された「vivi」は、前後のアッパーでトリッキーな楽曲群とは明らかに毛色の異なる、純度の高い叙情性を放っています。
ボカロP時代の奔放な音作りから一歩踏み出し、「生身の人間として他者とどう繋がるのか」という切実なコミュニケーションの葛藤が、この楽曲の根底には脈打っています。外部との接触を遮断されたジオラマの街の中で、どうしても触れ合えない二人の距離感こそが、「vivi」という楽曲を生み出す決定的なモチーフとなりました。