広重も愛した静岡・丸子のとろろ汁!老舗丁子屋が紡ぐ味覚の真実
江戸時代の旅情を今に伝える名画といえば、歌川広重の代表作『東海道五十三次』の「鞠子(丸子)」を置いて他にない。画面中央に描かれているのは、茅葺き屋根の茶屋で旅人が名物のとろろ汁を豪快にかき込む姿。遠くの山並みと早春の梅が醸し出す長閑な風景は、当時の旅人にとって鞠子宿がいかに心休まるオアシスであったかを雄弁に物語る。
さらに遡れば、俳聖・松尾芭蕉もこの地に立ち寄り、「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」という名句を残した。春の息吹を感じさせる梅と若菜、そこに供されるとろろ汁の素朴な温もり。芭蕉が五七五に封じ込めた情景は、数百年の時を越えた今もなお、同じ場所で同じ味を楽しむ現代の私たちの五感に鮮烈に訴えかけてくる。