赤い月は大地震の予兆なのか?最新科学が暴く真実と命を守る備え
月と地震の関連をめぐっては、視覚的な色ではなく「引力」に着目した厳密な物理研究が存在する。地球物理学・地震科学分野において世界的な注目を集めたのが、井出哲 (地震学者・東京大学大学院理学系研究科教授)らの研究グループが提示した「起潮力・潮汐トリガー仮説」だ。
地球に対する月と太陽の引力が重なる新月や満月の時期には、起潮力(潮の満ち引きを引き起こす力)が最大化し、地球の地殻に対してもわずかな変形ストレスを与える。井出教授らの統計解析によれば、すでに破壊寸前まで歪みが極限に達していた断層において、この潮汐応力が「最後の一押し」となり、巨大地震へと成長する引き金を引く可能性が示唆された。だが、これはあくまで月の位置関係と質量がもたらす重力効果の話であり、「月が赤く見えるかどうか」という大気光学現象とは次元の異なる議論である点を混同してはならない。