「丁寧な暮らし」に潜む罠とは?Sns疲れを防ぐ専門家の新提案
日本におけるこの潮流のルーツを辿ると、文化的な背景と出版メディア業界の歴史的役割が見えてくる。長年にわたり生活の美学を提案し続けてきた『くらしの手帖』を刊行する暮しの手帖社のスピリットや、元『クウネル』編集長でもある松浦弥太郎氏が発信してきた「日々の暮らしを慈しむ姿勢」は、多くの読者に深い感銘を与えてきた。
さらに、無駄を削ぎ落とすミニマリズムや、自然の歩みに合わせて生きるスローライフの思想が合流した。東北の豊かな自然の中で自給自足の生活を営む姿を描いた映画『リトル・フォレスト』などの映像作品も、手作りの生活に対する強い憧れを育む契機となった。
こうした価値観は、シンプルで質の高い生活用品を提供する株式会社良品計画をはじめとする企業の成長を後押しし、衣食住全般を網羅する巨大なライフスタイル産業へと発展を遂げたのである。