東の次郎、西の弥助―鮨聖・森田一夫が紡ぐ小松弥助の神業と現在
森田一夫氏の歩んできた道は、まさに昭和・平成・令和を駆け抜けた職人魂の物語そのものだ。かつて山代温泉の老舗旅館で腕を振るい、その後「小松弥助」を開店。一時は年齢と体力を考慮して店を畳む決断をしたものの、彼の鮨を愛してやまない全国の顧客や同業者からの熱狂的なラブコールを受け、見事に奇跡の復活を果たした。
90代を迎えた今なお、カウンターで見せる身のこなしには一切の衰えを感じさせない。むしろ年輪を重ねたからこそ到達できた無駄のない所作と、客一人ひとりを包み込むような温かい笑顔がそこにはある。「今日来られたお客様に、人生で一番美味しいものを食べてもらいたい」。その一心が、彼の指先に宿る神業を支え続けている。