無理心中と合意の境界線はどこか?法と孤立が招く家族悲劇の深層
なぜ人は他者を巻き込んで死のうとするのか。犯罪心理学の領域では、加害者が被害者を「自己の所有物」あるいは「自他未分離の延長」と捉える認知の歪みが指摘されてきた。著名な犯罪精神医学者である影山任佐は、拡大自殺(extended suicide)や家族心中における精神病理を分析し、加害者が抱く「自分が死ねばこの子(親)も生きていけない」という独善的な利他性が、いかに残虐な結果を招くかを明かしている。
重度のうつ状態や絶望感に囚われた人間は、視野狭窄に陥り、他者を自分から切り離された個別の尊厳ある人格として認識できなくなる。自らの破滅に相手を巻き込む行為は、究極の支配欲と絶望の混同が生み出す精神的な悲劇にほかならない。