一青窈の国籍と台湾・九份名家の血脈:歌姫が背負う家族の真実
両親の死という過酷な運命を共に乗り越えたのが、女優でありエッセイストとしても活躍する姉の一青妙(ひとと・たえ)だ。姉は後に実家のタンスから見つかった母の台湾料理レシピや家族の手紙を手がかりに、激動の家族史を綴った名著を発表。映画化もされたその記録は、姉妹がいかに互いを支え合い、引き裂かれがちな自らのルーツを慈しんできたかを雄弁に物語っている。
妹の一青窈は、慶應義塾大学環境情報学部(SFC)へ進学した。緑豊かな湘南藤沢のキャンパスで、彼女はアカペラサークルに没頭する。路上ライブでマイクを握り、自作の詩を朗読しながら歌う日々。ジャズ、ポップス、沖縄民謡、そして幼い頃に耳の奥へ染み込んだ台湾の土着的な調べが混ざり合い、彼女独特の変幻自在な節回しが形作られていった。