北の大地で地域医療に挑む香山リカの現在と発言に宿る真意の全貌
新千歳空港から車を走らせること約1時間半、山林と川に囲まれた北海道むかわ町穂別地区に、彼女が副所長を務める「むかわ町国民健康保険穂別診療所」がある。受付に掲げられた名札には、筆名ではなく本名である「中塚尚子」の文字が並ぶ。ここでの彼女は、メディアの著名人ではなく、町民の健康を一手に背負う地域医療の担い手だ。
専門である精神医学の診療枠にとどまらず、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の管理から外傷の初期手当、さらには看取りを含めた在宅医療まで、こなすべき業務は多岐にわたる。豪雪地帯の冬期には往診車を走らせて孤立しがちな高齢者宅を巡回し、ストーブの焚きつけ状況や冷蔵庫の中身にまで目を配る。かつて東京のスタジオで現代社会批評を展開していた論客は、泥臭い地域医療の最前線で、日々の診察記録を黙々と書き連ねている。