大阪守口の路地に佇む滝井新地、昭和の面影と知られざる街の輪郭
色街の歴史や遺構を記録した金字塔として知られる木村聡の『赤線跡を歩く』において、関西の知られざる遊郭跡として滝井の存在は幾度となく言及されてきた。かつての意匠を残すタイル張りの柱、丸窓、細い格子戸といった建築のディテールは、単なる風俗街の残骸ではなく、近代建築史や都市民俗学の貴重な資料としての側面を持っている。
現代ではNetflixなどの映像配信プラットフォームでルポルタージュ・社会派ドキュメンタリーが世界的な人気を集め、アンダーグラウンドな都市文化への関心が高まっている。だが、滝井新地に残る空気は、画面越しに消費されるエンターテインメントとは一線を画す。そこにあるのは、生活のために灯火を守り続けてきた人々の切実な息遣いそのものだ。