歌謡ロックの黒幕ヘンリー広瀬の功績、アン・ルイスと美勇士の今
ヘンリー広瀬とアン・ルイスの出会いは、日本のポップミュージック史における幸福な事件だった。単なるプロデューサーとシンガーという関係を超え、公私にわたるパートナーシップを結んだ二人は、互いの感性を激しくぶつけ合いながら前人未到のサウンドを構築していく。
その結晶として世に放たれたのが、1984年の『六本木心中』と1986年の『あゝ無情』である。作詞に湯川れい子や中西礼、作曲にNOBODYを起用しつつ、現場でそのポテンシャルを極限まで引き出したのはヘンリー広瀬のアレンジとディレクションだった。ドライブ感あふれるギターリフ、シンセサイザーの大胆な導入、そして何よりアン・ルイスのワイルドなボーカルを最大限に際立たせる空間設計。歌謡曲の枠組みを完全に打ち破ったこれらの名曲は、夜の街を席巻し、今や語り継がれる伝説となった。