なぜ世界はジョジョ立ちに熱狂する?荒木飛呂彦の美学と衝撃の秘密
荒木飛呂彦が画面上に構築するポージングの根底には、西洋美術の古典と最先端モードの鮮烈な衝突がある。作者自身が公言するように、ミケランジェロやベルニーニといったルネサンス・バロック期の彫刻に見られる「コントラポスト(重心を片足に預けることで生まれる体の非対称なねじれ)」がその骨格だ。静止した大理石に命を吹き込む古典彫刻の技法が、漫画のコマへと大胆に移植された。
そこに注ぎ込まれたのが、1980年代以降のハイファッション・モードの息吹である。ヴェルサーチェやモスキーノといったメゾンが放つアヴァンギャルドなモデルの立ち姿、ヴォーグ誌の表紙を飾る極端なパースペクティブ。武道や格闘技の構えではなく、肉体そのものをグラフィックデザインとして再構成する発想こそが、唯一無二のシルエットを生み出した。